概 要
共同利用・共同研究拠点とは
我が国の学術研究の発展には、個々の大学の枠を越えて大型の研究設備や大量の資料・データ等を全国の研究者が共同で利用したり、共同研究を行う「共同利用・共同研究」のシステムが大きく貢献してきました。 共同利用・共同研究は、従来、国立大学の全国共同利用型の附置研究所等を中心に推進されてきましたが、我が国全体の学術研究の更なる発展のためには、国公私立大学を問わず大学の研究ポテンシャルを活用し、研究者が共同で研究を行う体制を整備することが重要です。
このため、文部科学省では、科学技術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会の報告を踏まえ、平成20年7月に、学校教育法施行規則を改正し、国公私立大学を通じたシステムとして、新たに文部科学大臣による共同利用・共同研究拠点の認定制度を設けました。
本制度の実施により、広範な研究分野にわたり、共同利用・共同研究拠点が形成されるなど、我が国の学術研究の基盤強化と新たな学術研究の展開が期待されます。
また、平成30年度から国際的にも有効かつ質の高い研究資源等を最大限活用している共同利用・共同研究拠点を、国際共同利用・共同研究拠点として認定しています。
グローバル共生に向けた東南アジア地域研究の国際共同研究拠点(Global Collaborative Research, GCR) について
私たちが日々直面している喫緊の課題は、現代社会においては局地的な問題ではありえません。それらは地域を超えた拡がりをもって、経済、政治、社会、文化、生態、環境など複合的な因果関係のなかで生起し、グローバルに共有され、解決されるべき課題であります。このようなグローバル課題は多岐にわたり(例えば、温暖化、資源枯渇、環境破壊、食糧・水問題、高齢化、貧困と経済格差、人種・民族差別、難民、情報社会に関わる諸問題など)、地域研究が果たすべき役割への期待は大きいと私たちは考えています。しかしながら、これらの課題を前に、学問境界を超えず、単一地域に特化した従来型の学術体制の限界も明らかになっており、「学問分野」「対象地域」「研究体制」などの研究基盤に関するパラダイムシフトが急務となっています。
「グローバル共生に向けた東南アジア地域研究の国際共同研究拠点(Global Collaborative Research, GCR)」は、「東南アジア研究の国際共同研究拠点」および「地域情報資源の共有化と相関型地域研究推進拠点」の二拠点を統合し、新たな地域研究の創出を目指しています。
目的
1 文理融合を目指した学際研究の推進
人文・社会・自然系研究者の学際的共同研究をサポートします。
2 グローバル課題を射程とした地域研究の革新
東南アジア地域研究を中核としながらイッシューベースでグローバルな相互参照を行う地域研究の構想を目指します。
3 学術界を超えた研究プラットフォームの創出
研究者、市民社会、行政・ビジネス・コミュニティを架橋する研究プラットフォームを維持し、制度的運用強度を高めます。
4 日本と東南アジアを架橋する共創的研究の設計
課題先進国としての日本と独自の社会発展を進める東南アジアの研究者と実務家による共創的な共同研究を若手研究者の参加をもって促進します。
5 国際的環境のもとでの研究者育成
若手研究者による現地研究者との協働(研究計画立案、調査実施、国際的成果発信)を通した研究体制の構築を促進し、本研究所の持つ国際的ネットワークや研究資源を提供して支援します。
本拠点では、上記に向けた課題を歓迎しますが、これ以外の課題を排除するものではなく、革新的な基礎研究もサポートします。
なお、東南アジア地域研究研究所は、図書など各種資料の閲覧・貸出などの便宜を、国内外の研究者に広く提供しています。利用案内を参考に、ぜひ積極的にご活用ください(例えば、図書室についての情報は次のURLで検索が可能です。https://library.cseas.kyoto-u.ac.jp/)。
共同研究・共同利用プログラム
共同研究
共同利用
図書資料、地図・画像、地域研究データベース
国内外研究機関や研究者コミュニティと連携
東南アジア研究に携わる国際的な研究者コミュニティの要望に応える共同研究を主導することにより、フィールドに立脚した文理融合型の総合的な東南アジア研究を推進するとともに、国際的研究協力ネットワークを強化することができる等の学問的波及効果が期待できる。
国際的な成果創出
東南アジアの研究教育組織との協働や国内の地域研究関連組織の協議体である地域研究コンソーシアム(JCAS)ならびに東南アジア研究の国際的ハブであるSEASIAとの協力により、研究成果の社会還元や社会連携活動を積極的、意欲的に担う人材を育成する等の社会的波及効果が期待できる。
学術的プレゼンスを高める国際環境のもとでの若手研究者養成
国内屈指の東南アジア研究史資料ハブをさらに強化することにより、学内外の次世代教育に貢献することができる。