フィールド滞在型プログラム
「大陸部東南アジアにおける『死のかたち』: タイ・ラオス・カンボジアの葬送実践の比較研究」
R7-8 4-1 (令和7年度 FY2025 新規)
| 研究代表者 | 村上 忠良 (大阪大学人文学研究科 / 教授) |
| 共同研究者 | 日向 伸介 (大阪大学人文学研究科 / 准教授) 岩城 考信 (呉工業高等専門学校 / 准教授) 朴 苑善 (東洋大学社会学部 / 助教) Chatri Prakitnonthakan (シンラパコーン大学建築学部 / 教授) Samak Kosem (チェンマイ大学社会学部 / 研究員) 吉田 香世子 (在ラオス日本国大使館 / 事務職員) 小林 知 (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 教授) |
| 研究課題 | 大陸部東南アジアにおける「死のかたち」: タイ・ラオス・カンボジアの葬送実践の比較研究 |
| 研究対象国 | タイ, ラオス, カンボジア |
研究概要
本研究は、20世紀初頭から現在に至る社会変化の中で、大陸部東南アジア地域の葬送実践が生み出してきた墓地や火葬場、慰霊の場という「死のかたち」の様態の把握と、その「死のかたち」が再帰的に葬送実践に与える影響を明らかにすることを目的とする。研究代表者による現代タイ社会における葬送実践の研究成果を、隣接するラオス・カンボジアの事例と比較することで、大陸部東南アジアの「死のかたち」の理解のための基本的な研究枠組みの構築を目指す。
研究目的・意義・期待される効果など
本研究の問いは、「死のかたち」は、単に葬送実践や死者供養の結果であるだけではなく、人々の葬送実践に再帰的に影響を与えているのではないかという点である。その問いに答えるため、本研究では、マジョリティである上座部仏教徒のみならず、宗教的マイノリティであるイスラーム教徒の葬送実践も含めて、現代の大陸東南アジアの諸社会における「死のかたち」の様相を明らかにすることを目的とする。
本研究の特徴は、墓や慰霊の場、火葬場・埋葬地として現れる「死のかたち」を、人々の葬送実践として文化人類学的・文化史的視点から研究することに加え、「死のかたち」そのものを研究対象とする建築学や建築史の視点を導入することである。
本研究では、葬送実践を「方法」「対象」「空間」の三つの観点から考察するモデルを措定し、それぞれの観点が交差する「葬送儀礼」「墓・慰霊の場」「火葬地・埋葬地」の大陸部東南アジアにおける変化を明らかにする。特に、葬送の実践が墓地や火葬場、慰霊の場という「死のかたち」を創り出し、創り出された「かたち」が新しい葬送習俗や葬送儀礼を生み出すという再帰的なモデルを検証する。
本研究の期待される成果は、第一に、国際的な共同研究によって、タイとそれに隣接するラオス、カンボジアの「死のかたち」についての具体的な情報を収集し、歴史的変容や宗教実践の共通点と相違点を明らかにする。第二に、大陸部東南アジアの複数地域の事例研究を通して、葬送実践を「方法」「対象」「空間」の三つの観点から考察する研究モデルを検討し、その精緻化あるいは改訂を行うことである。







