インキュベーション・プログラム
「日越地方間連携による教育実践に着目したベトナム農村社会における教育訓練の役割」
R7-8 1-2 (令和7年度 FY2025 新規)
| 研究代表者 | 藤倉 哲郎 (愛知県立大学 / 准教授) |
| 共同研究者 | 柳澤 雅之 (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 准教授) 設楽 澄子 (府中刑務所・北海学園大学開発研究所 / 国際専門官・客員研究員) 嶋田 奈穂子 (滋賀大学経済学部 / 非常勤講師) |
| 研究課題 | 日越地方間連携による教育実践に着目したベトナム農村社会における教育訓練の役割 |
| 研究対象国 | ベトナム |
研究概要
ベトナム農村出身者にとっての地方都市での教育訓練の役割を、日越地方間連携の取組みを通して検討する。紅河デルタ・ナムディン省にある農業高校での教育実践に着目し、依然として農村での雇用問題が課題でありつつ農業の担い手の高齢化が進んでいるベトナムの農村社会と、超高齢化社会をむかえて人材確保に取り組む日本地方社会との相互関係から、両社会における人材の育成・活用・確保の課題に接近する。
研究目的・意義・期待される効果など
本研究は、ベトナム農村の社会的・経済的安定とその再生産が、どのような社会経済構造のもとで実現されるのかという問題関心を背景としている。本研究では、農村非農業就労の動向と、それに与える非エリート教育の役割という視点から、その関心にアプローチすることを目的としている。
本研究で焦点をあてる農業高校では、日本の関係者の支援を受けながら、有機栽培、農産物加工、加工品のマーケティングなどのノウハウ教育に力を入れている。支援する日本側関係団体は、農業や観光などの分野で、中長期的な人材が日本へも輩出されることも期待して連携しているが、同校としては、将来的な日本就労も含めた日本との関係性のなかで習得された知識や技能が、ベトナムの地域社会へ還元されることをねらいとしている。本研究では、海外就労を選択肢の一つとしつつも、生徒本人とその家族の中長期的な生活向上、ひいては農村社会への豊かさの還元を第一の目標とする実践活動を題材に、農村社会の安定性に役割を果たしうる事例として着目する。
本研究では、教育実践の背景についての理解を深めつつ、学校関係者・連携者の意図やねらいとともに、前身となる日本語学校から数えて20年近くになる教育活動が、生徒や卒業生とその家族、出身とする農村にとって、どのような意義や結果をもたらしているのかを明らかにする。




