インキュベーション・プログラム
「山村の景観形成においてヤマチャが果たした機能の検討にむけた分野横断的研究」
R6-7 1-3 (令和6年度 AY2024 新規)
研究代表者 | 佐々木 綾子 (日本大学生物資源科学部 / 専任講師) |
共同研究者 | 片岡 樹 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 / 教授) 中村 羊一郎 (静岡産業大学総合研究所 / 客員研究員) 柳澤 雅之 (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 准教授) 大橋 厚子 (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 連携教授) 大澤 由実 (青山学院大学地球社会共生学部 / 助教) |
研究課題 | 山村の景観形成においてヤマチャが果たした機能の検討にむけた分野横断的研究 |
研究対象国 | 日本 |
研究概要
東南アジア山間地では、自生する「ヤマチャ(山茶)」を意図的に残した「ヤマチャ景観」が形成され、地域史に大きく関与していることが報告されてきた。一方、日本の山村における生業や景観形成とヤマチャとの関連は見過ごされてきた。本研究では、東南アジア地域史との比較に貢献することを視野に入れ、日本の山村におけるヤマチャ景観の形成過程と、生業におけるヤマチャの資源としての機能を検討することを目的とする。
研究目的・意義・期待される効果など
モンスーンアジアの山間地に自生するチャ(チャノキ、Camellia sinensis)は「ヤマチャ(山茶)」と呼称され、様々な利用を通じ山間地における生業・生活の一部をなしてきた。東南アジア大陸部を対象とした研究では、ヤマチャが山間地の生態環境や地域史において重要な役割を果たしていることが示唆されてきた。
一方、日本では、茶の持つ高い文化性から「茶文化」の文脈でヤマチャがとらえられてきた。そのため、一資源としてヤマチャが果たしてきた役割・機能については見過ごされており、日本の山村の地域史・生業の変遷とヤマチャとのかかわりについては検討されてこなかった。そこで本研究では、日本の山村における生業の中で、ヤマチャが資源として果たした機能を検討することを目的とする。またヤマチャを伴ういわば「ヤマチャ景観」の形成過程を明らかにすることで、将来的に東南アジア地域史との比較に貢献することを目指す。
これらの議論により、1)日本において特殊に切り出されてきたヤマチャを生業・景観を構成する一資源として位置づけ、さらに2)茶文化研究と地域研究に加え、景観学、経済学、民族植物学の視点から、ヤマチャ研究を景観論として再構築することが期待される。
初年度は既存のヤマチャ研究を共有し、ヤマチャ利用の特徴や、生産地の文化的・社会的・生態的な特徴を理解し、日本の山村における生業・景観・資源利用におけるヤマチャの位置づけにかんして議論を行うこと主な活動内容とする。そのうえで、愛媛県においてヤマチャを軸にした資源利用・景観調査を行う予定である。