パイロット・スタディ・プログラム
「養蜂の技術実践と家畜化をめぐる人類学的研究:ラオスにおける国際開発援助の事例から」
R6 2-2 (令和6年度 AY2024)
研究代表者 | 続⽊ 梨愛 (京都⼤学⼤学院⼈間・環境学研究科 / 博士課程) |
研究課題 | 養蜂の技術実践と家畜化をめぐる人類学的研究:ラオスにおける国際開発援助の事例から |
研究対象国 | ラオス |
研究概要
本研究は、ラオス・シェンクワンの養蜂者とミツバチとの相互関係を事例に、国際援助による支援を受ける養蜂の実践を技術・道具の変容への着目から考察し、人間と自然の共生に向けた新たな視座を提示するものである。本パイロット・スタディでは、研究達成に向けた調査地の選定および現地研究者との面会やキャパシティ・ビルディング、2025年度からの長期滞在に向けたマルチビザと調査許可の取得を進めていく。
研究目的・意義・期待される効果など
本研究は、ラオスのシェンクワン地方における養蜂と人間・ミツバチの相互関係を分析することで、伝統的な養蜂と国際援助による技術変容の影響を探ることを目的としています。特に、ミツバチを家畜化するための技術や道具に注目し、これがどのように人間と自然との新しい共生の形を生み出しているかを明らかにすることを目指しています。
研究の独自性は、以下の2点にあります。第一に、従来の研究が見落としてきた小さな生物である虫の家畜化を、巣箱などの具体的な技術・道具を通じて再評価する点です。この研究では、日本で開発されたミツバチの巣箱がラオスでの金銭的目的のための養蜂にどのように適応されるかを分析し、両者のウェルビーイングがどのように相互に影響し合うかを明らかにします。第二に、養蜂に関する従来の環境保全イデオロギーを相対化し、実際の養蜂者の実践に着目する点です。従来の研究では、養蜂が主に環境保全のために行われるとされてきましたが、本研究では、養蜂者がミツバチとの関係を楽しみ、その技術をどのように適応させているかに焦点を当てます。
本研究は、文献調査と現地調査を通じて実施され、ラオスにおける養蜂の歴史や現状を整理し、ミツバチを飼育するための技術や道具の変遷を詳細に検討します。これにより、人間と自然との新しい関係性を探るだけでなく、養蜂技術の適応と発展に関する知見を提供します。