フィールド滞在型プログラム

「東南アジア農村社会における人々の機会とリスクに関する研究枠組み構築の試み」

R5-6 4-1 (令和6年度 AY2024 継続)

研究代表者藤倉 哲郎 (愛知県立大学外国語学部国際関係学科 / 准教授)
共同研究者柳澤 雅之 (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 准教授)
新美 達也 (名古屋学院大学経済学部 / 准教授)
高橋 勝幸 (ナレースアン大学社会科学学部ASEAN共同体研究センター / 准教授)
研究課題東南アジア農村社会における人々の機会とリスクに関する研究枠組み構築の試み
研究対象国ベトナム, タイ

研究概要

グローバル化と連動した産業・就業構造の変化、交通インフラ・手段の発達、人的資源の質の向上といった変化が、東南アジアの地方農村社会にも押し寄せてきている。この共同研究では、急激な高齢化といった人口構造の変化も踏まえながら、今日の急速な社会経済的変化のなかで、地方農村に暮らす人々の経済・社会生活における機会とリスクがどのように類型化されうるのかを、地域間比較の視点を組み込みながら探求する。

研究目的・意義・期待される効果など

本研究では、地方経済の発展がその周辺農村の人々の暮らしや展望に与える影響を、人々が直面する機会とリスクの両面から考察し、東南アジア農村社会の多様化を類型的にとらえるための手法の構築を図る。とくに非農業就労機会の拡大と多様化が、どのような機会とリスクをともなって、人々の暮らしに影響を与えているのかに焦点をあてる。活用できる資源や機会が多様化する一方、人々が自らの生活を向上させる様々な経路をできるだけ幅広く把握することに努め、同時に、人々の生活へのリスクの種類、リスクヘッジや被害救済の仕組みや工夫にかかわる諸材料を収集し方法論的な再構築をおこなう。研究対象の農村がおかれている生態環境、人口、土地所有、生業、産業発展、雇用機会など、社会レベルの基礎条件を把握しながら、現地調査の焦点として、教育・職業経験の蓄積や家族形成・ライフステージなど世帯・個人レベルのより流動的かつ今日的な制約条件を明らかにする。

本研究は、東南アジア農村の現状を一括する一般理論の構築を目指すものではないが、東南アジアの現代社会の複雑さや境界の曖昧さ、とらえがたさだけを個別に描き出すことにとどまらない、東南アジア農村がおかれている多様性の実相を把握するための一定の視座の提供を目指している。

北タイの中山間地。斜面に張り付くように点在するビニルハウスでバンコク市場向けの野菜が栽培されている(2023年12月撮影)。
北タイの中山間地。斜面に張り付くように点在するビニルハウスでバンコク市場向けの野菜が栽培されている(2023年12月撮影)。
調査村は新たな開発プロジェクトによって消滅の瀬戸際にある(メコンデルタ、2023年12月撮影)
調査村は新たな開発プロジェクトによって消滅の瀬戸際にある(メコンデルタ、2023年12月撮影)