インキュベーション・プログラム

「インドネシア・ボロブドゥールのレリーフにおける仏教美術研究」

R5-6 1-6 (令和5年度 AY2023 新規)

研究代表者伊藤 奈保子 (広島大学・人間社会科学研究科 / 准教授)
共同研究者根本 裕史 (広島大学・人間社会科学研究科 / 教授)
Niken Wirasanti (ガジャマダ大学・文化研究学部 / 准教授)
Inajati Adrijanti (ガジャマダ大学・文化研究学部 / 教授)
Akbar Rizqi Dhea Habibi (ガジャマダ大学・文化研究学部 / 講師)
小林 知 (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 教授)
研究課題インドネシア・ボロブドゥールのレリーフにおける仏教美術研究
研究対象国インドネシア

研究概要

本研究は、インドネシア中部地域のボロブドゥール遺跡について新しい理解を提出することを目指す。8~9世紀頃建立とされるボロブドゥール遺跡の第2~第4回廊主壁(27面、88面、72面)レリーフを、①尊像、②服制、③装飾、④全体の背景の4つの視点から分類・分析し、尊像の図像・尊名の再検討を行う。それにより、レリーフ彫刻にみられる像の体系化を図ることを第一の目的に置く。次に経典との照合を試みることでこの遺跡の仏教的意義の明確化を目指す。

研究目的・意義・期待される効果など

ボロブドゥールの第2回廊~第4回廊主壁に表現される187面のレリーフの詳細を考察し、この寺院の仏教的な性格を明らかにすることを研究の目的に置く。先行研究では1927年N.J.Krom『Barabudur』が大著として知られ、各場面の説明がなされるが、仏教、特に密教に特化した総合的な研究は現在まで十分になされずにいる。そこで本研究ではレリーフの尊像を明らかにし、経典との照合を行い、仏教・密教の影響を考察し、レリーフの尊像を取り巻くレリーフ全体の装飾などについても体系化を図る。これらの期待される効果は、この寺院がどのような性格の寺院であるのか。そして仏教・密教がこの寺院にどのように反映されているのかを導き出せる可能性が考えられる。尊像の図像、装飾品などの体系化は8~9世紀にかけての同地域、またインドネシア周辺における他地域の仏教・密教の美術作品との比較対象となりえるものと考える。

先行研究からレリーフには密教の八大菩薩や文殊・弥勒等の尊像が指摘され、『大方広仏華厳経』『入法界品』、『普賢行願讃』等がその内容とされるが再考を試みたい。

インドでは現在密教に関する痕跡が少なく、東南アジアの中でも早くに流伝したインドネシアの美術史、宗教史の一解明はインドの仏教、密教を知るうえでも重要である。この研究の成果はインドネシアの一寺院の考察に留まらず、密教の源流であるインド、伝播した中国、日本においてもその比較検討を可能にするものとして期待がもてる。

ボロブドゥール全景
第三回廊主壁のレリーフ