インキュベーション・プログラム
「メコンデルタにおける農業の持続可能性評価に資するための水循環機構の把握手法の検討」
R5-6 1-3 (令和5年度 AY2023 新規)
研究代表者 | 林 武司 (秋田大学教育文化学部 / 教授) |
共同研究者 | 飯泉 佳子 (日本大学文理学部 / 准教授) 皆木 香渚子 (京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科 / 博士課程) 柳澤 雅之 (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 准教授) |
研究課題 | メコンデルタにおける農業の持続可能性評価に資するための水循環機構の把握手法の検討 |
研究対象国 | ベトナム |
研究概要
本研究はメコンデルタ南西端に位置するベトナムCa Mau省内を対象地域とし、現地調査とデジタルデータ(標高モデル、衛星画像)の統合によって、①現地の農業の持続可能性評価に資するために土地利用(農地の利用形態、分布)、微地形(土地の起伏)、水循環機構(水路網を中心とする地表水の流れのあり方)の関係の現状を明らかにするとともに、②広大なデルタにおいて微地形や水循環機構を効率的に把握するために、デジタルデータの効果的な解析手法を検討する。
研究目的・意義・期待される効果など
世界有数の規模を有するメコンデルタでは、近年、灌漑用水等の塩水化が指摘されている。地球温暖化・気候変動の進行による世界規模での海面上昇が避けがたいと予測されていることをふまえると、地形の特に低平なメコンデルタ南部では、将来に農業や人々の暮らしが広範囲に深刻な被害を受けることが想定される。本研究は、メコンデルタ南西端に位置するベトナムCa Mau省内を対象地域とし、現地の農業の持続可能性評価に資するために土地利用、微地形、水循環機構の関係の現状を把握するとともに、広大なデルタにおいて微地形や水循環機構を効率的に把握するためのデジタルデータの効果的な解析手法を検討することを目的とする。農業の持続可能性評価に際しては現地調査結果に基づいて検討することが重要であるが、メコンデルタのようなメガデルタにおいて、広範囲に現地調査を実施することは困難である。そこで本研究では、現地調査とデジタルデータの統合によって対象地域の土地利用、微地形、水循環機構の関係の特徴を把握するプロセスを通じて、デジタルデータの効果的な解析方法を検討する。本研究の成果は、研究対象地域を含むメコンデルタ南部における農業や人々の暮らしの持続可能性評価に資するものであり、また本研究で用いるデジタルデータは世界の陸域を広くカバーしていることから、地球温暖化・気候変動の進行に対して脆弱な世界各地のデルタ地域や沿岸低地の評価等に対しても貢献することが期待される。