インキュベーション・プログラム

「『東南アジア型発展径路』概念の深化に向けたFieldNote Archiveの可能性: インドネシア・南スラウェシを事例として」

R5-6 1-2 (令和6年度 AY2024 継続)

研究代表者大橋 厚子 (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 連携教授)
共同研究者大橋 厚子 (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 連携教授)
柳澤 雅之 (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 准教授)
田中 耕司 (京都大学 / 名誉教授)
Asmita Ahmad (ハサヌディン大学農学部 / 土壌学科学科長)
小田 なら (東京外国語大学世界言語社会教育センター / 講師)
趙 浩衍 (大阪大学大学院文学研究科 / 博士後期課程学生)
研究課題「東南アジア型発展径路」概念の深化に向けたFieldNote Archiveの可能性: インドネシア・南スラウェシを事例として
研究対象国インドネシア, べトナム

研究概要

本年度の主な作業は次の3点である。(1)先行研究・公刊史資料およびFieldNote Archiveを利用して南スラウェシ州東南部の歴史的展開および研究状況を整理し、研究手引書を作成する。(2) 東南アジア域研究方法論の著作を残した研究者数人の構想について事例集を作成する。(3)上述(1)(2)から新たな観点・分析項目を提出し「東南アジア型発展径路」概念を深化させる。さらに(4)FieldNote Archiveの掲載資料を充実させるとともに、近い将来の先行研究データベース化について効果的な掲載案を提出する。

研究目的・意義・期待される効果など

本研究は、東南アジア地域研究研究所が1970・80年代に実施した学際的共同研究の成果の一部、および「生存基盤確保型発展径路」概念を2020年代後半により広い範囲に適応できる応用性を付加して、若い世代に手渡すことを目的とする。また、デジタル世界地図に質的資料を位置情報によってピンポイントで紐づけできるFieldNote Archiveを活用して人文学系東南アジア史研究におけるdigital humanitiesを進める。

本研究の主な意義は次のようである。20世紀を中心とした大量の先行研究(遺産)は現在の問題意識に見合った整理がなされていず効率的な参照が難しい。これらの先行研究を転換期である現在の諸問題の解決に資し、かつ次代を担う世代が参照しやすい形で整理する。このことで時代にマッチした研究枠組みの提出が期待される。

最終年度である今年度は今後の研究に波及効果が期待できる次の作業をする。

1)先行研究・公刊史資料およびFieldNote Archiveを利用して南スラウェシ州東南部の歴史的展開および研究状況を整理し、次世代の研究者がそこから出発可能な手引書を作成する。あわせて南スラウェシの事例から「生存基盤確保型発展径路」に関する新たな観点・項目を提出し、「東南アジア型発展径路」概念を深化させる。
2)1970・80年代東南アジア地域研究研究所が実施した学際的フィールドワークに参加し、その後地域研究方法論の著作を残した研究者数人の地域研究構想について、東南アジアの学生・研究者を含む若い世代が参照可能な事例集を作成する。
3)FieldNote Archiveの掲載資料をさらに充実させ、2年間の経験をもとに、(1)人文学および地域研究における活用メリット、(2)来年度以降にデータベース化予定の先行研究について効果的な掲載案を提出する。