インキュベーション・プログラム
「近代東南アジアにおける社会経済の変容と季節性」
R4-5 1-3 (令和5年度 AY2023 継続)
研究代表者 | 池田 昌弘 (岡山商科大学経済学部 / 准教授) |
共同研究者 | 大久保 翔平 (東京大学大学院人文社会系研究科 / 教務補佐員) 太田 淳 (慶應義塾大学経済学部 / 教授) 柿崎 一郎 (横浜市立大学国際教養学部 / 教授 川崎 昭如 (東京大学未来ビジョン研究センター / 教授) 小林 篤史 (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 助教) 鈴木 英明 (国立民族学博物館グローバル現象研究部 / 准教授) 城山 智子 (東京大学経済学研究科 / 教授) 島田 竜登 (東京大学人文社会学系研究科 / 准教授) 杉原 薫 (総合地球環境学研究所研究部 / 名誉フェロー・客員教授) 多賀 良寛 (東北学院大学文学部 / 講師) 西村 雄志 (関西大学経済学部 / 教授) 松本 淳 (東京都立大学都市環境科学研究科 / 教授) 三重野 文晴 (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 教授) 宮田 敏之 (東京外国語大学総合国際学研究院 / 教授) |
研究課題 | 近代東南アジアにおける社会経済の変容と季節性 |
研究対象国 | インドネシア, シンガポール, タイ, ベトナム, マレーシア, ミャンマー |
研究概要
本研究では近代東南アジアを対象に、本来自然環境制約の強い季節的な経済変動にどのように変化がみられたのかを明らかにする。ここでの季節性は、自然環境から生産活動と労働移動、商取引や決済、在庫などのモノ・カネの流れの動態を指す。自然、生産、消費、市場制度などのテーマから、各経済主体がどのように季節的な変化に対応していたのかを検証し、近代東南アジア社会経済の変容を新たな側面から提示する。歴史学、経済学、気候学・水文学を専門にする研究者が一同に会して課題に取り組むことで、脱領域的な共同研究の発展性を探る。
研究目的・意義・期待される効果など
実証データおよび歴史資料を活用して、19世紀から20世紀前半の東南アジアにおける経済活動の季節性の変化を捉えることが本研究の目的である。当該期の東南アジアは、貿易の自由化と国際市場への編入、近代技術の導入や市場統合など経済面における大きな変革期にあたる。また、これらはモンスーンや熱帯海洋性気候の影響を強く受けた東南アジアの社会経済にも大きな影響を与えた。季節性に注目することで、社会経済の諸方面における変化を数量的・定性的・視覚的に分析し、相互連関を明らかにする。分析においては、季節性を捕捉できる日次、週次、月次データと歴史資料を活用してテーマに取り組む。
本研究の意義は、2つの面で脱領域を目指していることにある。まず、隣接地域の専門家の参画、そして近世や現代を対象とする専門家との議論を通じて、東南アジアを包括した研究を意識しつつも時間・空間的な点で脱領域を視野に入れている。次に、自然科学分野との共同研究を実施することで、学問の面でも脱領域を意識している。19世紀前半もしくは中葉から収集が可能となる高頻度データを活用しながらそれぞれの専門を基盤にした研究報告を行い、様々な視点から議論を進め、学際性のある研究発信の可能性を探る。
様々な分野の専門家で構成される本研究組織は、対象時代の季節性をより広域的な視座から捉え、季節性と地域社会経済との関係を数量的かつ視覚的に析出することを可能にさせる。議論を通じて、東南アジアにおける近代的特徴がより明確になるとともに、前後の時代との連続性や断絶性に新たな知見を見出すことも期待される。これらの点において、本プロジェクトは学術的な意義を多く有した研究課題をもつ。 本研究を通じて、参加者はより具体的かつ包括的な研究課題を模索する。将来的に、科研など競争的資金の獲得や関連分野の研究者を取り込んだ学際的プロジェクトに発展させることを目指す。