資料共有プログラム
「東ティモールの地域言語による刊行物の保存整理および言語文化コレクションの構築」
R7-8 6-1 (令和7年度 FY2025 新規)
| 研究代表者 | 須藤 玲 (東京大学大学院教育学研究科 / 助教) |
| 共同研究者 | 土屋 喜生(京都大学東南アジア地域研究研究所 / 助教) 中井 亮(株式会社野村総合研究所 / シニア研究員) |
| 研究課題 | 東ティモールの地域言語による刊行物の保存整理および言語文化コレクションの構築 |
| 研究対象国 | 東ティモール |
研究概要
本研究の目的は、東ティモールの地域言語によって書かれた刊行物を基盤とする大型コレクション、「東ティモール言語文化コレクション」を構築することである。令和7年度は、共同研究費および大型コレクション購入費を活用し、東ティモール国内外に散らばる刊行物の収集を行う(令和8年3月に渡航予定)。また東ティモールの地域言語に係る資料の保存整理については、資料のスキャンと体系化を行い、デジタルアーカイブ化を目指す。
研究目的・意義・期待される効果など
本研究の目的は、東ティモールに存在する地域言語によって書かれた刊行物から成る、「東ティモール言語文化コレクション」を構築することである。東ティモールでは公用語の一つであるテトゥン語に比べ、それ以外の地域言語に関する言語文化の資料の蓄積が遅れている。故に、東ティモールの言語文化に関する研究は、テトゥン語やポルトガル語、英語、インドネシア語といった言語で書かれた資料に頼らざるを得ない状況にある。東ティモールの地域言語、特にテトゥン語以外の地域言語によって書かれた資料群の収集とデータベースの構築を目指す本研究は、同国に関する今後のより豊かな地域研究の基盤となりうる。
本研究は、東ティモールの国内外で散在していた地域言語に係る資料を一元的に集積する点に意義があると考えられる。東ティモールに関する資料について、国内外の大学の所蔵数は限定的である。本コレクションの構築によって、単に同国の地域研究の資料拠点の実現に留まらず、同国の言語や文化に隣接する様々な領域の研究の発展を支える基盤としての役割が、その成果として期待できる。また、本コレクションの構築の完遂後の展開としては、コレクションを活用することで、これまで確立されてこなかった地域言語のコーパスの作成等が考えられる。以上より、本コレクションの構築は、東ティモール研究のハブとしての機能も果たしうるという点で、単なる資料保存という社会的意義に留まらず、学術的意義も高いと考えられる。


