フィールド滞在型プログラム
「フェミニスト経済的連帯による都市⼥性起業の強化: バンジャルマシン市における⼥性農業グループ(WFG)を通じた実践型研究」
R7-8 4-2 (令和7年度 FY2025 新規)
| 研究代表者 | 岸 健太 (秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科 / 教授) |
| 共同研究者 | Sri Hidayah (ランブン・マンクラット大学社会政治学部社会学科 / 講師) Mercedes Rodorigo Garcia (アーキテクチュラル・アソシエーション・スクール・オブ・アーキテクチャー(AAスクール)、歴史・理論研究部門 / 博士課程指導教員) 岡本 正明 (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 教授) M. Najeri Al Syahrin (ランブン・マンクラット大学社会政治学部社会学科 / 講師) Ahmad Wildan Habibi (ランブン・マンクラット大学社会政治学部社会学科 / 講師) Bintang Chairul Putra (NPO法人 オペレーションズ・フォー・ハビタット・スタディーズ(OHS) / 代表) Lutfiah Setyo Cahyani (NPO法人 オペレーションズ・フォー・ハビタット・スタディーズ(OHS) / コミュニティ・エンゲージメント部門・部門長) |
| 研究課題 | フェミニスト経済的連帯による都市⼥性起業の強化: バンジャルマシン市における⼥性農業グループ(WFG)を通じた実践型研究 |
| 研究対象国 | インドネシア |
研究概要
本研究は、インドネシア・バンジャルマシン市の女性農業者グループ(WFG)を対象に、フェミニズムの原則と連帯経済の視点からその制度的可能性と戦略を分析し、都市女性の経済的自立と起業支援の方策を探究するものである。泥炭地特有の都市環境において、環境保全と経済的エンパワーメントの両立を重視し、WFGの実践を理論と結びつけて評価を行う。そのための方法論として、文献調査、事例研究、参加型アクション・リサーチ(PAR)、フォーカス・グループ・ディスカッション(FGD)を組み合わせた超学際的アプローチを採用し、研究メンバーの専門知を統合しつつ、社会的実装の可能性を探っていく。
研究目的・意義・期待される効果など
本研究は、バンジャルマシン市の女性農業者グループ(WFG)を対象として、「フェミニスト経済的連帯」の原則の応用可能性を探究するものである。協働や相互扶助に基づく経済的持続性と都市農業との親和性を分析することを通じて、女性起業が直面する社会的・経済的障壁や、地域流通ネットワークやデジタル技術の活用といった新たな機会を検討する。さらに、WFGメンバー、自治体、企業、NGOと共に、資金・市場・政策へのアクセスを改善する戦略を共創し、都市農業を単なる経済活動にとどまらず、教育・環境・コミュニティ機能を兼ね備える場として再構築することを目指す。
本研究の独自性は、女性の起業を、連帯経済とジェンダーの力学を踏まえた「連帯・平等・共同性に基づく経済実践」として再定義する点にある。また、金融システムの強化、デジタル販売、政策提言などを通じて、女性の経済資源へのアクセスを拡大する方策を検討する点も大きな特徴である。
研究方法としては、質的調査と参加型アクション・リサーチ(PAR)を組み合わせ、WFGメンバーの主体的参加を重視する。参与観察、半構造化インタビュー、フォーカス・グループ・ディスカッション(FGD)、政策分析を通じ、課題の把握から解決策の設計・実装まで取り組む。
期待される成果は、WFGの強化と都市女性の自律的起業を支援する具体的戦略の提示であり、社会実装までを視野に入れる。さらにその成果はバンジャルマシンの都市整備プロジェクトやASEAN域内への展開にも応用され、国際的な共同研究や政策提言へと発展していくことが期待される。




