パイロット・スタディ・プログラム

「台湾におけるインドネシア移⺠キリスト教コミュニティの成⽴と展開: 派遣元教団に焦点を当てて」

R7 2-4 (令和7年度 FY2025)

研究代表者柴⼭ 元 (京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 / 博士課程)
研究課題台湾におけるインドネシア移⺠キリスト教コミュニティの成⽴と展開: 派遣元教団に焦点を当てて
研究対象国インドネシア, 台湾

研究概要

本研究は、台湾でインドネシア移民向けのキリスト教共同体(カトリック教会とメソジスト教会)が設立された背景を解明する。特に宣教師の派遣元である宣教団体に着目し、ジャカルタ・スラバヤ・メダンでの資料収集とインタビュー調査を通じて、宣教師が台湾に派遣されるに至った経緯を明らかにする。また、宣教団体が台湾宣教にあたりどのような司牧方針や教会共同体形成のヴィジョンを掲げていたのかを解明する。

研究目的・意義・期待される効果など

本研究は、台湾に居住するインドネシア移民が集うキリスト教共同体(カトリック教会とメソジスト教会)が設立された背景を明らかにすることを目的とする。特に、インドネシア人宣教師とその派遣元である宣教団体の活動に着目し、各教派・教団が掲げた宣教方針や宣教師派遣プログラムの内容を調査する。これにより、宣教師たちがインドネシアから台湾に派遣されるに至った経緯を解明する。

キリスト教共同体の形成・維持に寄与してきた宣教師の動向に着目する本研究は、単にキリスト教共同体の形成経緯を時系列的に整理するだけでなく、マクロな宣教史のなかにミクロなライフヒストリーを位置づけることで、それらの共同体の歴史をより具体的な側面から把握・検討することを可能とする。また、本研究は、インドネシアから台湾へと移動した人々が形づくるキリスト教共同体の考察を通じてインドネシアのキリスト教研究と台湾の移民研究とを架橋するという学術的意義を持つ。

インドネシア移民のキリスト教共同体が形成された経緯を宣教師の派遣元までたどって調査する本研究は、直接的には台湾におけるインドネシア移民に関する研究に寄与する。しかし、その成果はさらに、第三世界の国家間における各教派・教団の宣教史をまとめるうえでの土台作りにも寄与し、インドネシアの各教派・教団の教会史や宣教史の発展にも貢献しうると考える。

Photo 1: インドネシア移民が集うメソジスト教会(2024年6月25日)
Photo 2: カトリック・インドネシア語共同体のクリスマスミサ(2024年12月25日)