インキュベーション・プログラム
「ジャカルタ首都圏の小規模経済活動に対するデジタル化のインパクト: 地域社会の多様性解明に向けたマクロとミクロの融合的研究」
R6-7 1-5 (令和6年度 AY2024 新規)
研究代表者 | 吉田 航太 (静岡県立大学国際関係学研究科 / 助教) |
共同研究者 | 三村 豊 (総合地球環境学研究所経営推進部 /外来研究員) 林 憲吾 (東京大学生産技術研究所 /准教授) 新井 健一郎 (亜細亜大学都市創造学部 /准教授) 小泉 佑介 (一橋大学社会学研究科 /専任講師) 田川 昇平 (東洋大学国際学部 /助教) 久納 源太 (京都大学東南アジア地域研究研究所 /機関研究員) 塩寺 さとみ (南山大学国際教養学部 /准教授) 加反 真帆 (九州大学大学院農学研究院 /特別研究員) 岡本 正明 (京都大学東南アジア地域研究研究所 /教授) |
研究課題 | ジャカルタ首都圏の小規模経済活動に対するデジタル化のインパクト: 地域社会の多様性解明に向けたマクロとミクロの融合的研究 |
研究対象国 | インドネシア |
研究概要
本研究では、インドネシアのジャカルタ首都圏において大きな変動の中にある小規模経済活動が生み出す地域的多様性をマクロ・ミクロの融合的な視点から明らかにするものである。経済センサスおよび人口センサスのデータから小規模産業の業種別の分布・変化を明らかにし、さらに、ミクロな現地調査から近年のE-commerce等のデジタル化の影響を探る。経済活動から見た地域社会の多様性を示すことで、首都圏社会構造の変化を捉える動態的なモデルの構築を目指す。
研究目的・意義・期待される効果など
本研究の学術的問いは、現代のジャカルタ首都圏において生じている地域的多様性と変化を経済面から明らかにし、21世紀の経済発展が進む東南アジア都市部の地域社会モデルの刷新を目指す。
具体的には以下の問いに答えることを目指す。
1.現代のジャカルタ首都圏において、社会的要素(産業、土地所有、年齢、流動性、民族など)と小規模な経済活動(飲食、小売り、宿泊・下宿、手工業、修理業など)がどのような地理的分布を生み出しているのか。
2.それぞれの地域社会の多様性が2000年以降どのような変化を遂げているのか。
3.こうした多様性や変化に情報インフラの発達や産業のデジタル化がいかに関連しているか。
本研究の独自性は、小規模経済活動のデジタル化という視点から地域社会の多様性を理解するための新たなモデルの構築を目指す点にある。これまでの研究では、郊外を中心にした分譲住宅地の開発やそれと対立する中心部での都市内集落の研究に分断される傾向にあり、両者の相互依存や近年の変化を示唆する議論は断片的な事例分析で示唆されつつも、ジャカルタ首都圏全域に渡る実証的研究は未だ存在しない。経済センサスを中心とした統計データと質的調査を組み合わせ、経済面での多様性と変化に着目することで、ジャカルタ首都圏を経済という側面で独自性を持つ地域の集積として捉え、富裕層・中間層と庶民層の分断と対立といった静態的な見方を刷新して、東南アジア独自の都市社会論という革新的な視座をもたらす点に大きな意義がある。