資料共有プログラム

「海峡植民地年次報告書統計資料のデータベース化とオンライン公開のこころみ」

R4-5 6-1 (令和5年度 AY2023 継続)

研究代表者河野 元子  (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 連携准教授)
共同研究者坪内 良博  (京都大学 / 名誉教授)
小林 篤史  (京都大学東南アジア地域研究研究所 / 助教)
研究課題海峡植民地年次報告書統計資料のデータベース化とオンライン公開のこころみ
研究対象国マレーシア, シンガポール

研究概要

イギリス植民地「英領マラヤ」は、その統治拠点をシンガポール、ペナン、マラッカを主領域とする海峡植民地(Straits Settlements, SS)とした。申請者は、これまでその海峡植民地行政の年次報告書に記載された数値を収集整理(データベース化)、その一部を報告書に作成することで、海峡植民地にみられた半世紀余りの間の社会・経済さらに行政の実態を知るための手がかりを紹介してきた。本研究では、その後の継続的なデータベースの補充にもとづいて精緻化作業をおこなうとともにオンライン公開を試みることを目的とする。

研究目的・意義・期待される効果など

東南アジア研究所図書室には、公費購入および寄贈の英領植民地関係のマイクロ資料やデータ資料(海峡植民地部局別年次報告書、英領マラヤ連邦州年次報告書、同非連邦州年次報告書、人口センサス報告書、CO273文書等)が保管されている。シンガポール、マレーシアの歴史および現代的関心から過去を研究する者が、各分野の関心でして利用きた資料群である。海峡植民地および英領マラヤに関するこれまでの研究についても、経済史、社会史、政治史など各分野で豊かな蓄積をもつ。しかし、資料の扱いにおいても、研究対象においても分化していること否めず、マレー半島総体としてのイギリス植民地を捉えられていないのが現状である。本研究では、東南アジアにおける比較政治経済、社会学、歴史学(経済史)を専門としつつ、史資料学、統計データ処理に深い関心をもつ研究者による共同研究に特色をもつ。史資料学的観点からすると、『海峡植民地年次報告書』を日本国内でもっとも網羅的に収集保管しているのは東南アジア地域研究研究所であり、そのデータの性格を総合的に示すことは、あらたな資料利用の可能性を見出すきっかけを提供するユニークさをもつ。具体的な研究課題は、『海峡植民地年次報告書』に記載されたさまざまな数値を収集整理することによって、英国植民地国家および社会の特性を、総合的な視座より通時的に整理をして、公開をめざしたデータベース化を行うことである。その結果、植民地資料利用の新たな可能性を模索する契機を提供する大きな意義をもつと考える。

海峡植民地時代のペナン(絵葉書集より)
海峡植民地年次報告書1917原本 (於:英国国立公文書館)