パイロット・スタディ・プログラム

「北タイ山地民の都市流入とコーヒービジネスの関わり」

R5 2-6 (令和5年度 AY2023)

研究代表者日下 陽介 (神戸大学大学院国際文化学研究科 / 修士課程)
研究課題北タイ山地民の都市流入とコーヒービジネスの関わり
研究対象国タイ

研究概要

本研究ではタイ山地民のコーヒービジネスを通した農村と都市、またタイ国内と海外をつなぐネットワークの調査を通し、マイノリティである山地民がどのように自らのビジネスを展開しているのかを明らかにする。タイ北部では山地民、特にアカによるコーヒー豆栽培やカフェ経営が確認されており、本研究ではそのような経済活動全般を「コーヒービジネス」と捉え、調査対象とする。本研究はタイ北部での2か月のフィールドワークを行う。山地の農園と都市のカフェ、コーヒー豆生産者と仲介業者を対象に調査を行い、上記の問いに多角的にアプローチする。

研究目的・意義・期待される効果など

本研究は、コーヒービジネスを対象に、現代タイ社会においてマイノリティである山地民、特にアカがどのように主体的にビジネスを展開しているのかを明らかにすることを目的とする。

本研究では、コーヒー栽培からカフェ経営までの全般を「コーヒービジネス」として調査対象とすることで、山地民が従事し研究も蓄積されてきた農業や観光産業にとどまらない経済活動を視野に入れることができる。またコーヒーを取り上げることで、タイ山地民における換金作物の導入に関する研究を、山地民の都市への移動やグローバル経済との関係と結び付けて議論を発展させる材料を提供することができる。

またタイにおける山地民のコーヒービジネスには現段階では大きく2つの点で特徴があると考えている。1つには、王室による開発プロジェクトの影響で始まった点である。そして2つ目には民族衣装をパッケージに反映させるエスニックビジネスの側面を持つ点である。以上2つの特徴から、本研究は開発プロジェクトの対象とされてきたマイノリティである山地民が、現在自らのルーツをポジティブな形で表現し、ビジネスを行う様相を描き出すことができる。そこから本研究の成果は、他地域の先住民や少数民族といったマイノリティによるエスニックビジネスの研究とも接続して議論することも可能であると考える。

山岳地帯のカフェ
ロイヤルプロジェクト空港店